食事と腸の良好な関係は?③
2020/09/24
IBS(過敏性腸症候群)と食物繊維
食物繊維は人間の体で消化されない植物由来の炭水化物などです。
IBSでなくとも一般的に食物繊維をよく摂ることが推奨されています。
最近では食物繊維がIBS症状全般を改善するのではないかと期待されています。
そのいっぽうで、食物繊維の種類によっては
お腹にガスがたまりやすくなったり、お腹がはったりする原因になって。
IBSの症状を悪化させることがあることが知られています。
そのため、食物繊維の種類とその機能を正しく理解することが大切です。
食物繊維の種類
これまで食物繊維は、水溶性/不溶性と分類されることが一般的でした。
しかし、近年では、粘着性や発酵性(大腸で腸内細菌に発酵されやすいか)という機能にも注目が集まっています。
食物繊維は、これらの種類によってその効果が異なってきます。
たとえば、不溶性、低発酵性、低粘着性の食物繊維であるセルロースは便秘に対して効果的です。
腸の蠕動運動を促進し、排便をスムーズにしてくれます。
※セルロースを多く含む食品:大麦、全粒粉製品など
水溶性、発酵性、低粘着性食物繊維(イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖など)は、
急激に摂取量を増やすと腹痛や腹部の膨満感、ガスの貯留につながるとされています。
これは、たまねぎや豆類に多く含まれています。
水溶性、発酵性、粘着性の食物繊維(ベータグリカン、ペクチンなど)は
便が溜まる時間を長くし、ジェル状の便を形成し、排便回数の正常化をサポートします。
バナナやベリー類、かんきつ類などに多く含まれています。
水溶性、低発酵性、粘着性の食物繊維(サイリウム)は、
下痢に対しては、緩い便を固形化し、
便が腸にたまる時間を長くすることをサポートします。
いっぽう便秘に対しては、堅い便を軟らかくすることをサポートします。
これは、オオバコに多く含まれています。
オオバコの研究
食物繊維の中では、特にサイリウム(オオバコ)の便秘やIBSに対する効果に関する研究が行われ、
その有用性が確認されています。
2014年には食物繊維のサプリメントがIBSにもたらす効果を検証した14の臨床研究を解析したものが発表され、
食物繊維がIBS症状や腹痛の改善に有効であることが確認されました。
またこの研究で、サイリウム(オオバコ)など水溶性食物繊維が有効であることが確認されましたが、
不溶性の食物繊維であるブランでは有意な改善がみられませんでした。
そして、食物繊維のサプリメントを投与したときの副作用ですが、
プラセボ群と比較しても有意な増加は見られませんでした。
つまり、比較的安全に使用できるものということです。
ただ、今のところ、なぜ食物繊維が腹痛やIBS症状緩和に効果があるのか、
その詳細なメカニズムはわかっていません。
仮説としては、食物繊維が神経内分泌系に影響を与え、
IBS症状改善につながるのではないかとされています。
具体的には、食物繊維が腸管内腔のPHや内圧に影響を与え、
セロトニンの分泌が刺激され、
腸の過敏な状態を緩和することや
食物繊維が腸内細菌によって発酵されて生じる短鎖脂肪酸がさまざまなメカニズムを通して
腸管に影響を与えるのではないかと考えられています。
食物繊維の摂取めやす
現在、IBSに対する具体的な食物繊維の摂取目標は設定されていません。
しかし一般的には、健康な方と同程度の食物繊維の摂取を目標とされることが多くなっています。
日本における最新の食物繊維の摂取目標は、
男性(18~64歳)で21g/日以上
女性(15~64歳)で18g/日以上
となっています。
まずは、食事から十分に摂取することを目標に
難しい場合は、サプリメントなどを併用してみてはいかがでしょうか。
最後に
IBSの症状には、さまざまな要因が関係しています。
もちろん人によって合う食品、合わない食品が異なります。
そのため、この食事療法なら大丈夫といったものは存在しません。
食物繊維についても、数ある食事療法の選択肢の1つでしかありません。
ぜひ専門の消化器内科医や管理栄養士と相談の上、
ご自身に合った食事をするようにしてください。
また、ストレスも食べ物の消化に影響を与えます。
ストレスケアも併せて行うとより効果的かもしれません。
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