サルコペニアを予防しよう
2023/08/19
目次
サルコペニアとは
サルコペニアは、加齢や病気によって
筋肉量が減り、筋力が低下した状態のことです。
いったん、サルコペニアになると
転びやすくなったり、外出や身体を動かすことがおっくうになって
更に筋肉量の減少や筋力低下をきたす
という悪循環に陥りやすいといわれています。
サルコペニアになると
- 動くのに労力が必要になるため、動くのがおっくうになり、あまり外出しなくなります。
その結果、人との関わりが減り、認知症になるリスクが高まります。
- 転びやすくなり、骨折のリスクが高まります。
よくあるのが、大腿骨の頚部骨折、腰椎の圧迫骨折などです。
いずれも安静が必要になります。
骨折をきっかけに認知症が悪化するということもめずらしくありません。
- 咬む力が弱くなったり、運動量が減ることで
食事摂取量が減ってしまい、栄養不足になりがちです。
その結果として、体力の低下や更なる筋力の低下をきたしてしまいます。
サルコペニアを予防するには
高齢者にみられる筋力低下の特徴
高齢者にみられる筋力低下は次の2つの原因でおこってきます。
・加齢
・筋肉を使わないこと(廃用)
この2つ原因はいずれもよくみられるものです。
これらの要因で筋力低下が起きると、
立ち上がりや歩行、階段の昇り降りなどの
日常の生活に関わる動作が難しくなってきます。
サルコペニアを予防する~運動~
サルコペニアの予防や改善には、
筋肉量を増やすことを目的に
年齢や体力、体調にあった運動やトレーニングを行うことが大切です。
目的の筋肉に負荷をかける筋力トレーニングのレジスタンス運動と
ウォーキングや水泳などの低強度の有酸素運動
を組み合わせるのが効果的とされています。
ハーフスクワット
大腿四頭筋にのみ刺激を与えることができるトレーニングです。
下半身の柔軟性を高め、バランス力を養い、基礎代謝を上げる効果があります。
【やり方】
- 肩幅程度に足を開いて立つ
- つま先と膝は30度ほど外側を向ける
- 椅子に座るような感覚で、90度になるまで上半身を下す
- 上半身を下すとき、身体の中心を意識して、踵が浮かないように注意する
- 膝が90度になるところまで上半身を下ろしたらストップ
- 元の姿勢に戻す
【注意点】
- 膝がつま先よりも前に出ないようにおしりを突き出す
- 背中が丸くならないように腹筋に力を入れる
- 動作中は呼吸を止めない
慣れてきたら、1回あたり10秒くらいかけるようにしましょう。
軽い疲労感が出るまで、繰り返してください
サルコペニアを予防する~食事~
ポイントはタンパク質とアミノ酸。
筋肉量の維持には、体重1kgあたり1.0g以上。
筋肉量の向上を目指すなら、体重1kgあたり1.2〜1.5gが必要です。
サルコペニア予防のために必要なタンパク質は、1食あたり20gとされています。
食品のタンパク質含有量はこちら。
サルコペニア予防に1食あたり20gが勧められているのは、
筋肉の合成スイッチをいれるため。
筋肉の合成には、
細胞内のシグナル伝達物質である酵素mTOR(エムトール)が関わっています。
食事でとったタンパク質が分解・吸収され、
血中のアミノ酸濃度が高くなるとmTORが作用。
筋肉の合成が促進されるというわけです。
そして、同じタンパク質でも、それぞれに違った特徴や性質があります。
たとえば、肉や魚、乳製品といった動物性タンパク質には、
身体に必要なアミノ酸が豊富にバランスよく含まれています。
筋肉の合成スイッチを強く入れるロイシンという必須アミノ酸もそうです。
参考)https://www.suntory-kenko.com/column2/article/3937/
植物性タンパク質は、必須アミノ酸の種類や量は動物性タンパク質に比べて劣りますが、
脂質が少なく、脂肪を燃やす働きのあるアルギニンというアミノ酸を多く含んでいます。
また、消化吸収のスピードが速いほど効率よく筋肉が作られるのですが、
脂質が多いと消化・吸収はゆっくりになってしまいます。
そのため、かたまり肉よりも赤身のひき肉の方が、
消化吸収されやすく、筋肉になりやすいといえます。
フレイル、ロコモティブシンドローム、サルコペニアの用語解説はこちら