【認知症の症状】周辺症状 徘徊

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【認知症の症状】周辺症状 徘徊

2024/05/12

目次

    1年間で約17,000人が徘徊による行方不明で保護!

    「徘徊」とは目的もなく、ただうろつき回ることです。

    ただ、それは周りから見てそう見えるだけで、ご本人にとっては理由も目的もあります。

    なので、なかなかその行動を止めるのは難しいのが現状です。

     

    認知症の人の数が増えてきている昨今、徘徊による行方不明が社会問題となってきています。

    私が住んでいる鎌倉でもよく行方不明者の捜査協力の無線が流れています。

     

    警察庁の調査によると、認知症で行方不明になった人の数は、2022年には全国でのべ1万8,709人にもなるそうです。

    これは、統計をとりはじめた2012年と比較すると10年でほぼ2倍に増えている結果となっています。

    そして、残念ながらそのうち491人の徘徊中にお亡くなりになっているそうです。

     

    この数は、警察に行方不明者届が出された人に限定されているので、

    実際にはもっと多くの人が行方不明になっているのではないかと考えられています。

    行方不明から5日経過すると生存率が0%というデータも

    行方不明になってしまった場合、いかにして早期に発見するかが重要になります。

    行方不明の時間が9時間を過ぎると発見率が大幅に減少するといわれています。

    実際、行方不明になった方の99.3%の人は1週間以内に保護されるなどして所在が明らかになることがわかっています。

     

    いっぽうで、2016年の桜美林大学老年学総合研究所の調査では、

    行方不明から5日間経過すると生存率が0%となるという結果も出ています。

     

    生存していた場合でも、自宅から遠く離れた土地で発見されたり、

    本人が住所な身元を伝えることができず身元不明者とされているケースもあったそうです。

     

    また、踏切事故や交通事故に遭う例や、

    徒歩ではなく自転車や自動車で出かけ、他人を巻き込んで事故を起こしたケースもあるようです。

    https://mainichi.jp/univ/articles/20160530/org/00m/100/020000c

     

     

     

     

    徘徊の原因

    徘徊は記憶障害に見当識障害や不安・ストレスなどが絡み合って起こってくると考えられています。

     

    たとえば、

    • トイレに行こうとしたものの、トイレの場所がわからなくなり、うろうろする​

    • メガネ置いた場所がわからなくなり、探し回る​

    • 財布を探し始めたものの、目的そのものを忘れてしまい、ひたすら歩き回る​

    • 引っ越し後の新しい家や環境になじめず、前の家に戻ろうとする​

    • 家の人に叱られたことが恐怖の記憶として残り、その場所から逃れようとする​

    • 家族が留守にしたときに独りぼっちであることに不安を覚え、うろつく​

    • デパートなど慣れない場所や人ごみにストレスを感じ、落ち着く場所に移動しようとする​

     

    そのため、ご本人に歩く能力がある限り、徘徊と呼ばれる症状は誰にでも起こる可能性があります。

     

    実際、東京都健康長寿医療センターが行った「認知症による行方不明の研究」によると

    「行方不明者には中等度以上の認知症が多いが、家族からみて軽度、あるいは認知症とは思えない状態であっても、行方不明になることがある」そうです。

     

    ちなみに、ここでいう「行方不明」とは、

    高齢者が1人歩きをして、家族や介護サービス担当者などがその居場所を把握できなくなった状態のことです。

     

    徒歩に限らず、自転車や自動車、バスや電車などを利用することもあり、

    家族が同居していても、一瞬目を離した隙にいなくなることもあります。

    徘徊する人への対応

    • 怒らない

    振り回される介護者がご本人についつい怒りたくなる気持ちはわかりますが、

    ご本人に怒ることでよけいに徘徊が悪化してしまう可能性があります。

    というのも、記憶障害があるため、など怒られたのか何がいけなかったのかなどはすぐに忘れてしまいます。

    しかし、認知症の方というのは感情の記憶は比較的保たれているので、

    怒られたことによって感じた恐怖や嫌な気持ちは残っている可能性があります。

    そのため、「ここにいると嫌な思いをする」「ここは自分が気持ち良く過ごせる場所ではない」​と感じるようになり、安らげる場所を求めてさらに徘徊を続ける​ということになりかねないのです。

     

     

    • 理由を聞いてあげる

    明確な答えが返ってくるとは限りませんが、会話の中にヒントとなる言葉が隠されていることも​あります。

    たとえば、「自分の家へ帰る」ということを言ったのであれば、今住んでいる環境への不安やストレスが隠れている​可能性があります。

    また、「家に泥棒がいる」といった現実にはない出来事を言ったのであれば、妄想の症状が出ている​ということがわかります。

    たとえ、明確な理由がわからなくても、気持ちに共感して寄り添ってあげるだけでも

    ご本人の不安が軽くなって、徘徊の症状が落ち着いてくる可能性もあります。

     

     

    • 他のことに気をそらす

    「家に帰る」と言って外に出ようとしたとき、「帰る前にトイレに行っておきましょうか」と声をかけてトイレに誘導したり、

    お茶を用意して「せっかくですからお茶を一杯どうぞ」と誘ったりというのも有効かもしれません。

    徘徊対策

    東京都健康長寿医療センターでは、徘徊の対策として

    1. 行方不明はいつ発生するか分からない

    認知症の症状が軽かったとしても常に行方不明になる可能性について念頭に置く 

     

      2. 事前の対策が重要

    ★一人で外出する気分にならないような工夫

    • 趣味や仕事を見つける
    • 適度に運動する
    • 体調や生活リズムを整える

     

    ★一人で外出するリスクを減らす工夫

    • いっしょに外に出る
    • 安全に出かける先を持つ:デイサービス、地域の憩いの場

     

    ★徘徊に備える

    • 徘徊のタイミングを知らせる:センサー、ドアベル、本人の興味をひくものを玄関に置く(立ち止まってもらう)
    • 早期発見の工夫:本人の行動パターンを知る、連絡先を記載したネームプレートの利用、GPS装置の利用、捜査の準備(本人の顔写真・当日の服装のメモ)

     

    ★地域との連携

    • 立ち寄る可能性のある店舗や、駅などの交通機関を事前に知っておく
    • 行方不明者を発見保護するSOSネットワークなどの活用。地域包括支援センターへ相談
    • サービスを利用している事業所やケアマネジャーに前もって相談する

     

      3. 行方不明になったときはどうすれば良いか

    • 立ち寄りやすい場所やなじみの商店やコンビニ、公園や交通機関をさがす
    • 迅速に警察に連絡する
    • 地域包括支援センターや担当ケアマネジャー、利用している介護サービス事業所に連絡する

    徘徊への具体的な予防策と解決策

    ★日中に適度な運動をする​
    脳に良い刺激を与え、程よい疲れで夜によく眠れるようになり、深夜の徘徊予防になる​
    ラジオ体操、高齢者向けの軽いストレッチなど​
    運動を兼ねた役割を持たせるのも効果的:草むしり、庭木の手入れ、日曜大工洗濯物の取り込みなど​
     ⇒「自分が必要とされている」という認識につながり、居場所のない不安が減る​

    ★そのまま歩かせてあげる​
    本人がやりたいように行動することで気持ちも落ち着くことも​

    ★デイサービスなどを利用する​
    レクリエーションを通して体を動かしたり、施設の周りを職員と一緒に散歩したりすれば、自宅では落ち着いて過ごせるようになる場合もある​

     

    ★GPS端末を活用する​
     取り付け場所:いつも履く靴、お気に入りのカバン​
     自転車のハンドルやフレーム、お守り袋、手押し車や電動カートのカゴ椅子に付ける​
     上着(衣服)にしのばせる​

    参考)認知症の方の安全を確保するセンサー、アラートシステム

    ★玄関から出ていけないように工夫する​
     玄関ドアの鍵を新しいものに取り替え、鍵を隠す​
     被介護者の手の届かない位置に新しく鍵を設置する​
     自力で開けられないように、ドアの前に大きな荷物を置いておく​
     ドアが開いたことがわかるように、ベルやセンサーを設置する​

    ★服や持ち物に名札をつけておく​
     よく着る服や持ち物、靴の内側などに、名前と連絡先を記載する​

    ★近所の人や交番に連絡しておく
     住んでいる地域の民生委員や自治会の役員、近所の方に見かけたら連絡をくれるように頼む​
     交番には、徘徊の事実と身長や髪形などの身体的特徴を伝え、必要な情報を共有しておく​

     

    認知症ケアのセンサー&アラートシステム

    まずは、センサーやアラートシステムにはどのような種類があるのかについてみていきましょう。

     

    • 離床センサー

    高齢者や介護が必要な人がベッドから離れたことを検知するために使用される装置です。
    これは、夜間の徘徊や転倒のリスクを早期に警告し、迅速な対応を促すために役立ちます。

     

    • ドア・窓センサー

      ドアや窓が開かれたことを検知し、介護者にアラートを送信するシステムです。
      これにより、認知症の方が建物を離れることを防げます。

     

    • GPSトラッキングデバイス

      認知症の方が迷子になった場合に追跡できるよう、身につけることができるデバイスです。
      スマートフォンやコンピューターを使って、現在位置をリアルタイムで確認できます。

     

    • ウェアラブルデバイス

      腕時計型やペンダント型など、常に身につけられるセンサーです。
      歩行パターンの変化、位置情報、場合によっては生理的情報(心拍数など)を監視し、異常があればアラートを出します。

     

    • 緊急コールシステム

    認知症の方が困った時に助けを呼ぶためのボタンやデバイスです。
    これを押すと、介護者や緊急サービスに直接通知されます。

     

    これらのシステムやデバイスは、

    認知症の方が安全に生活するためのサポートしてくれるだけでなく、

    介護者に安心感を与えてくれます。

     

    使用する際には、それぞれのニーズや生活環境に合わせて選択することが大切です。

    神奈川県認知症等行方不明SOSネットワーク

    高齢者見守り・SOSネットワークとは、

    高齢者が行方不明になった時に地域の住民や団体が捜索に協力して、すばやい発見や保護をするための仕組みのことをいいます。

     

    厚生労働省のHPには、この体制づくりを推進するために

    見守り・SOS体制づくり・基本パッケージガイド(https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center1/t_h29SOS_guide.pdf

    というものを載せています。

    神奈川県でも各市町村と協力して、体制づくりをおこなっています。

    警察と市町村がお互いに連携し、地域の方や関係機関の協力を得て、一刻も早く自宅等に戻っていただく、また、保護された方の身元がわかるまで安心して過ごせるように一時的に施設等でお預かりする仕組みとなっています。

     

    協力機関には、地域包括支援センター、社会福祉協議会、介護保険事業所、公共交通機関、タクシー会社、郵便局、コンビニエンスストア、銀行などがありますが、ネットワークによって異なっています。

     

     

    実際に行方不明になってからの利用でも大丈夫ですが、

    事前に名前や連絡先、身体の特徴等を登録しておくことで、SOSネットワークによる速やかな発見が可能になります。

    登録方法(登録に必要な書類や、お申し込み先等)については、お住まいの市区町村にお問合せください。

     

    詳細は、https://www.pref.kanagawa.jp/docs/u6s/cnt/f6401/p711536.html

    を参考にしてください。


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