アルツハイマー病とうつ病の関係

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アルツハイマー病とうつ病の関係

2024/05/14

アルツハイマー病とうつ病の関係

こんにちは、ヘテロクリニックの木ノ本です。

 

さて、今日はアルツハイマー病とうつ病について面白い論文を見つけたので、

その紹介をしていきたいと思います。

 

 

まず、アルツハイマー病について、簡単に復習していきましょう。

 

アルツハイマー病というと認知症の中でもっとも有名な病気といっても過言ではないと思います。

アルツハイマー病は、進行性の脳の病気で、

記憶力や思考力がゆっくりと障害されていき、最終的には単純な作業もできなくなってしまいます。

 

アルツハイマー病の人の脳の中で、どのようなことが起こっているのかというと

脳の中にアミロイドベータという物質がたまって、それによって神経細胞が傷つき、最終的には神経細胞が死んでしまった結果、神経細胞の数が減ってしまいます。

 

そして、アルツハイマー病の原因物質と考えらえているアミロイドベータの蓄積は、

アルツハイマー病が発症する20~30年も前から起こってくることがわかっています。

参考)原因物質から考える早期に認知症予防に取り組む重要性

話を戻します。

今回、興味深かった論文ですが、2021年の日本生物学的精神医学会誌 32 巻 1 号

「新規治療標的としてのグリアの可能性」の特集の1つです。

ちなみに、グリア(細胞)というのは、脳の細胞で、

神経細胞の生存や発達機能発現のための脳内環境の維持と代謝的支援を行っています。

 

どうしても脳というとニューロン(脳の神経細胞)に注目が集まりがちですが、

グリア細胞もとても重要です。

私たちの脳は、1000億個以上のニューロンと、その10倍以上ものグリア細胞から成り立っています。

 

そのグリア細胞の中の1つミクログリアがアミロイドベータを取り除くのに重要な働きをしていることがわかっています。

研究報告より

以前から「うつ病はアルツハイマー病発症のリスクファクターである」ということは報告されていました。(Depression and risk for Alzheimer disease:systematic review, meta-analysis, and metaregression analysis. Arch Gen Psychiatry, 63:530-538. 

 

そして、最近の研究で大脳皮質にアミロイドベータの沈着がある人ほど

孤独感や寂しさを強く感じており、その後の経過で抑うつ症状がより増悪するということが報告されました。(Donovan NJ, Okereke OI, Vannini P, et al(2016) Association of higher cortical amyloid burden with loneliness in cognitively normal older adults. JAMA Psychiatry, 73:1230-1237.

 

つまり、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドベータが大脳皮質にたまっているから

よりいっそう不安や孤独、寂しさを感じるのか

不安や孤独、寂しさといったものがあるからアミロイドベータが脳にたまりやすくなるのかはわかりませんが、こういった感情とアミロイドベータの蓄積は相関関係にあるということです。

アルツハイマー病とうつ病の共通病態

そこから、アルツハイマー病とうつ病に共通する病態があるのではないかという仮説を立てているわけです。

その共通する病態というのが、「慢性炎症」です。

というのも、もともとアルツハイマー病をはじめとした神経変性疾患の病態に「慢性炎症」が関与しているという報告があり、慢性炎症とうつ病の関係の報告も相次いで見られるようになってきたからです。

 

そして、慢性炎症にミクログリアが関係しているというわけです。

この病態は生活習慣病とも関連性が深いことから日頃の生活を整え、

ミクログリアの機能を正常に保つことが認知症予防にとっても重要なのです。

 

論文では、ミクログリアを標的とした(ミクログリアを保護する)治療薬を望む言葉で締めくくられていましたが、まずは日頃の生活習慣の改善こそ大切かと思います。

ちなみに、私の気になった論文はこちらです。

https://www.jsbp.org/publication/32-1/09_.pdf



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